番組審議会記録

第69回GAORA番組審議会記録

第69回番組審議会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、書面による開催としました。今回は、「寺子屋ファイターズ #2 易経」、「シモ’Sキッチン! #1」、「いまこそ!~ナイスボディ目指します~ #1」の3番組について審議を行い、委員の皆様から次のようなご意見をいただきました。



<委員長総括>
今回は、世界的なコロナ禍により、国内外のスポーツイベントが次々に中止、延期になり、視聴者も自宅での自粛生活を余儀なくされている状況下で、人々が少しでも日々を楽しみ、健康に過ごせることに貢献することを意図した3番組が審議対象となった。一つひとつの番組の審議報告に入る前に、こうした必ずしもスポーツそのものに拘らない番組を制作し放映することについて、その姿勢を評価する声が寄せられた。映像メディアの社会的責務は、映像の力を通じて文化的生活の向上に寄与し、人々を心豊かにすることにあるとみることができ、その観点から、今次の非常事態にあたっての貴社の姿勢は評価されるべきものである。

番組審議

<審議番組【1】>

寺子屋ファイターズ #2 易経  

放送日時:2020年5月8日(金)12:55~13:30

<番組概要>

「学校に通えなくなった時間を無駄に過ごしてほしくない。俺も頑張るから、一緒に勉強しよう!」と、新型コロナウィルスの影響で学校が臨時休校になった全国の子どもたちに向けて、小・中・高校の教員免許も持つ栗山監督が、『易経』や『孫子の兵法』などの文献を子供たちにも分かるように語っています。ファイターズ球団が当初YOUTUBEの公式チャンネルにアップしていた映像の一つですが、反響が大きかったため、こんな時期だからこそ、GAORAでの放送を実現しました。

<審議意見>委員の主な意見は次の通り。

  • ・栗山監督が学校の先生よろしく解説する番組で、子供に限らず親が一緒に見ても楽しめる内容であった。子供たちに語り掛ける姿は板についていて教員免許もダテではないと思わせてくれる。番組内では子供を飽きさせないように抑揚をつけた口調とジェスチャー、独自の資料で工夫を凝らすなど流石。 大人が聞いても納得する事ばかりで、自身の体験と重ね合わせて腑に落ちる人も多かったのではないか。制作意図も十分伝わってきた。
    可能ならば受講する子供も登場(オンラインでも)させ、視聴者もその一員として授業に参加している気分にさせる手法は如何か。
  • ・これは斬新!まさかの監督室に、まさかの易経。確か栗山監督は教職免許をお持ちだと記憶しており、さすがに「人に教える事」がお上手で、分かりやすく、そして興味を引くように気を遣っておられるのがよく伝わってきた。
    恐らくこのような感じで選手達ともミーティングをしてチームを鼓舞しておられるのかと思うと、普段は見ることができない貴重な一面を垣間見ることができ得した気分。 ただ、易経自体が難しく、途中で理解できなくなってしまったので、事前にフリップなどを用意し図示して説明するなどのひと手間あれば更に良かったのではないか。
  • ・最初に思ったのは、栗山監督の授業の進め方が大変うまいなと感心した。易経をどのようにわかりやすく伝えるかを考え準備されたのであろう。
    易経からポイントのところだけをうまく切り出して、分かりやすく説明していた。例えば、「潜龍」とは夢を持ってあきらめないことと大谷選手の例を使ったり、「君子終日乾乾」は日中は前に前にだが夜になると今日を反省と尺取り虫の例を使ったり、子供たちを飽きさせない話し方が大変楽しく視聴することができた。
  • ・栗山監督は易経が大好きでおもしろすぎて、それをどうにか私たちに伝えたいという一生懸命な思いが伝わってきた。話の内容もさることながら、監督のうれしくてしかたがないという表情や話ぶりに引き込まれ、易経の原典にあたってみたいと思わせる雰囲気を感じた。見ているだけでこちらが自然とにやけてしまい、気持ちが前向き、上向きになるエネルギーを感じた。
    番組から、この監督だからこそ、大谷選手の二刀流もプロ野球の世界において生まれたのかなと思うことができた。とってもおもしろい番組であった。
  • ・番組の質がどうという以前に、まさに栗山監督が何かやってみようという情熱が十分に伝わる番組であった。栗山監督と言い、事務所と言い、ホワイトボードの使い方と言い、「素人」丸出しで、おそらくそれを狙ったのであろうが、興味深く視聴できた。
    「易経」の授業について私も授業の「プロ」で、この間リモート授業の準備と運営で苦労している身からするといろいろとアドバイスしたくなるところであったが、それも野暮なことかと思い、栗山監督の隠れた側面が見られたことで十分楽しめる番組であった。
  • ・大変面白い試みだ。教員免許を持つ栗山監督のキャラクターがあればこそ成立した企画だろう。プロデューサーもいいポイントに目をつけたと思う。栗山監督は、常日頃から選手たちに対して、「野球以外に成長のヒントあり」というニュアンスのことを仰っているようで、この番組のような熱さで選手たちに語りかけているのだろうか、と想像しながら楽しく見た。ご本人が何度も何度も繰り返し「難しい??」と言っていた部分、確かに、そうだったかもしれない。語り方からすれば、若い受講者を意識しての企画だろう。そのあたりの部分、もう少しバランスが取れていれば、なお良しだ。ぜひ、今後とも続けて頂きたい。

  • <委員長>
    ・番組の企画そのものを評価するコメントがすべての委員から寄せられた。また、栗山監督の野球のシーンでは見ることのできない監督の一面が現れたことへの評価もみられた。しかし、子供を対象とした番組としてみると難しかったことは確かで、意欲的な企画であるからこその改善点があるであろうことも事実である。「わかりやすかった」とするコメントもあるが、それは社会経験を積んだ審議委員自身にとってわかりやすかったと理解するべきであろう。
  • <審議番組【2】>

    シモ’Sキッチン! #1  

    放送日時:2020年5月4日(月)13:30~13:45

    <番組概要>

    「健康のためにはカラダを動かさないとあかんし栄養もちゃんと取らなあかん」と、44歳まで現役を続け、タイガースやファイターズで活躍した下柳剛が、ひとり暮らしの学生や単身赴任のお父さんを応援するべく栄養満点で誰でも気軽に作れる男の一人飯を伝授します。自宅でできるトレーニングや健康に関するメソッドをお届けする番組を「健康応援プロジェクト #からだのじかん」という括りで編成し、放送開始しました。本番組はそのうちの一つで、GAORAで放送するタイガースとファイターズ両球団に所属した下柳氏が手軽な料理を紹介し、視聴者におうち時間を有意義に過ごして頂くために企画しました。

    <審議意見>委員の主な意見は次の通り。

    • ・下柳氏がエプロン姿で得意の料理を披露する番組で、まずキッチンの広さに驚いた。そして、後ろに控える大きな冷蔵庫や調理用品等細部にわたる拘りは、恐らく下柳氏本人の意向であろうと勝手に納得。投手らしい繊細さ、ストイックな面が垣間見えた。
      しかし、「自分も料理にチャレンジしよう!」という気持ちにはなれず、何かが不足しているように感じた。料理の中に「なるほど」といった発見(視聴者側の得)が無かったからなのか、野球同様、第三者(専門家)の評価や解説が欠けていたからであろうか。 制作意図とは少しズレがあったと思うが、番組では下柳氏のグラウンドでは見せない柔和な表情やおちゃめな一面が伺え、視聴対象は下柳ファンに限られるのではないか。
    • ・「下柳さんがお料理をする」という事が驚きの切り口。「元プロ野球選手が、一体どんなキッチンでどんなお料理をするのか?」と期待もあり楽しく視聴できた。
      「ザ・男の料理」という豪快さで、時折混じる野球界のこぼれ話や、下柳さんのプライベートがわかるようなトークも面白く、他にはない「GAORAらしさ」を感じた。 希望を言えば真似をして作ろうとすると①レシピの表示時間が短すぎる、②五島うどんが購入できるサイトの紹介があれば尚良かった。
    • ・選手時代の下柳選手とはイメージが全く違った。結構気さくな感じで好感を持った。
      彼が長崎出身でお母さんが五島列島出身とのことで、五島うどんを使ったナポリタンに五島のあごだしを使った茶わん蒸しと郷土色も感じられ、楽しく視聴できた。
      また、説明の合間、声の出演者橋本さんの合いの手のタイミングが良かった。
      コロナの時代、これを見てお父さんも料理を始める家庭が増えるかもと期待する。
    • ・下柳さん独特のワールドで料理が繰り広げられており、視聴者によって好き嫌いがはっきりと分かれる番組であろう。
      子どもとのやりとりという設定で展開は分かりやすかったが、料理はまったく子ども向けではなかったので、ちぐはぐな印象を受けた。また、料理の味付けがいかにも濃い感じで、調味料はかなり大雑把だったので、「料理番組」というよりは「トーク番組」ではないかと思いながら視聴した。時間は15分が丁度いいように思えた。
    • ・下柳さんのいかにも「おウチ」感のある雰囲気が面白かった。ワンちゃんの登場もなかなかの演出であった。おそらく、簡単料理も視聴者には受けたのではないか。
      番組内で「栄養のバランスを意識した」と下柳さんが言われていたように、ステイホームでなくても、アスリートの「簡単メシ」という企画は面白いかもしれない。
    • ・下柳さんの料理はもちろん、トークも絶妙で、日頃料理に縁のない私も心から楽しんで見ることができた。エンターテインメントは、そのジャンルに興味のない人間を振り向かせることで裾野が広がる。この番組はまさにその好例だ。DVD化できるのでは?と思えるほどのクオリティの高さに感心した。

    • <委員長>
      ・積極的に評価するコメントがみられた一方、必ずしも肯定的ではないコメントもみられた。私が思うに、確かにこの番組は料理番組であるのか、トーク番組であるのか、下柳氏のあまり知られない一面を見せる番組なのかがよくわからない。視聴者のターゲットをどこに置くのかという問題であろう。もし、料理番組であるならば、全体に清潔感を感じるものであってほしいと思う。
    • <審議番組【3】>

      いまこそ!~ナイスボディ目指します~ #1  

      放送日時:2020年5月14日(木)8:00~8:15

      <番組概要>

      男子テニスATPツアーの実況を担当する「ツッチー」こと土屋和彦は、久々に乗った体重計で仰天!いまこそ!と番組で宣言、ナイスボディ作りへまい進します。サポート役は、ダイエットインストラクターの伊藤しほ乃。効率的に運動効果が得られると注目を集めるHIIT(High-intensity interval training)を伝授。ご自宅で一緒にチャレンジしたくなるトレーニングガイドを目指しています。「健康応援プロジェクト #からだのじかん」の番組の一つで、GAORAの視聴者層と合致する年代の土屋和彦氏を起用し、テレワーク等でおうちにいる時間が長くなる中、ボディメイクを実践して頂く教科書となるよう企画しました。

      <審議意見>委員の主な意見は次の通り。

      • ・本番組は個人的にも興味深いテーマ、取り組むべき課題で、チャレンジしたくなる内容であった。以前、紙面でもオフィスで出来るストレッチを写真と解説で毎週紹介したが、動きが無いせいか反応は今一つであった。やはり動画はリアル感が違う。
        残念だったのは、折角、程よいモデルの土屋氏が出演しているのに結果(効果)が見えなかったこと。禁煙同様、継続するためには「成果」が重要なカギになる。
        老若男女、多くの人が興味を持つテーマだけに一方通行になる事は避けたい。
        毎日決まった時間に放送すれば「新生活様式」に取り入れ易くなるのではないか。
      • ・こんな時だからこそのダイエット企画。「たった4分で、手軽に自宅でトレーニングができる!」と喜びストレッチマットを敷いて同じように体感してみた。すると困ったことに1つ1つの動作説明があっという間の過ぎ、早すぎて理解できないままトレーニングがスタート。出来れば説明だけで進むよりも、導入のトーク部分を減らしてでも、各トレーニングにつき、1つ1つの動作を説明し、視聴者も動作確認を行った上で、4分続けてのトレーニングという流れにした方が実際に体験しやすいのではないかと感じた。
      • ・コロナ禍で外出もできずストレスが溜りつつある中、タイムリーな番組であると評価。伊藤しほ乃さんのHIITトレーニングをフリーアナウンサーの土屋さんに指導するというスタイルのもと、土屋さんのトークは余分との印象を持った。トレーニング内容について、4つのセクションがあったので、それぞれについて詳しい説明が欲しかった。
      • ・トレーニング自体は4分だが、それなりの強度があり、誰を対象としているのか、さっとやってみようと思える内容ではなかった。
        インストラクターが見本を見せるだけで息が上がり疲労した様子が見られ、ジャンプ後の腕立て伏せ姿勢に移るときに姿勢の乱れもみられたため、説得力がないように感じられた。また、土屋さんが一緒にトレーニングをするのであれば、インストラクターが、素人がやるとどんな感じになるのか指摘するとか、姿勢などの注意点を説明しないと一緒にやっている意味がないのではないか。
        トレーニングの内容は、おもしろみ、新しさ、工夫はなくむしろ古い印象。そしてインストラクターの胸をいかにも強調したものになっており、少し不快感を持ってしまった。
      • ・今回のステイホーム期間に多くのアスリートがこうした動画を配信していたが、今後、ひと工夫した体操・アスレティック番組をレギュラー番組として制作していくのもスポーツ専門チャンネルではありではないか。二次利用も期待できるであろう。 
      • ・ステイホームの続く今の時流にフィットした番組であり、若きインストラクターとおっさん代表?の土屋アナウンサーとの掛け合いも楽しく見ることができた。
        ただ1点苦言を申し上げたい。番組の作り手側の問題だが、インストラクターの見せ方に少々「健康的な色気」を超えた「イヤラシさ」を想起させるような演出、カメラアングルがあったのは少し残念だった。番組はさまざまな視聴者が見る。中にはアングルひとつで不快に思う人もいる。狙いはわかる。だからこその元グラビアアイドルの起用だったのかもしれない。決してそのこと自体を悪いとは言わない。伊藤さんの新しいジャンルへの挑戦に水を差すつもりもない。けれどだからこそ、作り手は細心の気配りをもって番組制作に臨む必要があるはずだ。

      • <委員長>
        ・積極的に評価するコメントがみられた一方で内容に違いはあるが、いずれも土屋アナウンサーの扱いについての改善を求めるコメントがみられた。また、実際に番組に沿ってトレーニングする視点からの改 善についての指摘があった。さらに、インストラクターの見せ方について指摘がみられた。この点は余程極端ではない限り、視聴者の主観に左右されるところでもあろうが、番組の趣旨が「自粛期間の健康な生活の維持」にあるのだとしたら、制作者にかなり慎重な配慮が求められる点であることは事実である。

      GAORAでは、これらの貴重なご意見を、これからもより良い番組をお届けしていくために大いに活用させていただきます。

      審議委員

      種子田穣委員長、影山貴彦副委員長、黒田勇委員、藤井純一委員、沢松奈生子委員、森本志磨子委員、山本泰博委員 (以上7人)