第94回選抜高等学校野球大会 総括
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posted2022年3月31日 17時00分
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今大会の決勝「近江 対 大阪桐蔭」戦に臨む近江には心理的な負担があったと思われる、エース、山田陽翔(3年)はこれまで3月25日の聖光学院、28日の金光大阪、30日の浦和学院戦をすべて1人で投げ抜き、6日間で投げた球数は384球。「1週間で500球以内」という球数制限を横目で見ながら残り116球をどう配分するのか。この大阪桐蔭戦は1回表に22球、2回表に19球投げ、このペースで行けば6回には116球を投げ切ってしまう計算になる。山田1人がマウンドに立ってきた近江にとって、山田の降板は勝利の切り札を放棄するに等しい。少ない球数で投げなければならない、という山田の焦りは好球必打を身上にする大阪桐蔭攻撃陣には大歓迎だったろう。
ここまで一人で投げぬいてきた近江のエース、山田
1、2回に1点ずつ入れ、3回表には2番谷口勇人(3年)が死球で出塁、3番松尾汐恩(3年)が初球のストライクを取りにきた123キロのストレートを振り抜くと打球はレフトポール際に飛び込む2ランとなり、スコアは5対0と一方的になる。近江ベンチはここで山田に代わって左腕に技巧派、星野世那(3年)をマウンドに送るが、星野は8回途中にマウンドを降りるまで5回3分の1を投げ、被安打12、失点14の成績で、スコアは18対1の大差がついていた。
3回表、大阪桐蔭3番の松尾が2ランHR
この試合で大阪桐蔭打線が放った安打数は16本。そのうちホームランは4本を数え、今大会記録したホームラン数は1984年のPL学園を上回る11本。準々決勝の市和歌山戦で6本、準決勝の国学院久我山戦で1本、そして決勝の近江戦が4本である。もし新型コロナウイルス陽性者が続出して試合を辞退した広島商戦が行われていたら、この本数はさらに増えていた可能性があるのだ。
今大会のベストナインは?
今大会31試合で飛び出したホームランは18本。これは〝記録的な″という表現を用いてもいい少なさだが、大阪桐蔭だけは11本の本数を積み上げ、これは清原和博(元西武など)、桑田真澄(元巨人)がいた84年のPL学園を上回る大会記録である。私が選ぶ今大会のベストナインは次の通りである。
投手/右腕=川原嗣貴(大阪桐蔭3年)、左腕=前田悠伍(大阪桐蔭2年)、捕手/松尾汐恩(大阪桐蔭3年)、一塁手/丸山一喜(大阪桐蔭3年)、二塁手/星子天真(大阪桐蔭3年)、三塁手/伊藤櫂人(大阪桐蔭3年)、遊撃手/金田優太(浦和学院3年)、外野手/海老根優大(大阪桐蔭3年)、黒田義信(九州国際大付3年)、若狭遼之助(星稜3年)
大会前には佐々木麟太郎(花巻東2年)、真鍋慧(広陵2年)佐倉俠史朗(九州国際大付2年)の強打が話題になったが、終ってみれば大阪桐蔭の“一強無双″だけが際立った大会だった。
終わってみれば大阪桐蔭の強さがひときわ目立った今大会