【インディ500】王者パロウが猛暑を制し2回目のポール獲得!予選後には技術違反で2台失格の波乱も

  • #モータースポーツ

Shuhei.N.

posted2026年5月18日 11時50分

131views

(c)Penske Entertainment: Matt Fraver

第110回インディアナポリス500マイルレース(インディ500)の予選最終日が17日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われ、昨年の覇者であり現在シリーズ4回の年間王者に輝いているアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)が、劇的な展開となった「ファイアストン・ファスト6」を制し、自身2回目となるポールポジションを獲得した。

土曜日の雨による順延を経て、雲一つない青空のもとで行われた日曜日の予選。パロウは4周平均速度232.248mph(約373.7km/h)を叩き出し、栄誉あるNTT P1アワードと10万ドルのボーナスを手にした。しかし、予選終了後の技術検査において2台のマシンに規則違反が発覚し、タイム剥奪となる波乱の幕切れとなった。

■ 不利な出走順と猛暑を克服したパロウの執念

パロウのポールポジション獲得は、決して平坦な道のりではなかった。金曜夜の抽選で妻のエスターさんが「31番」という後方の出走順を引いたため、パロウの予選1回目は、1番手を走ったチームメイトのスコット・ディクソンから2時間19分も後になった。

気温が約5回、路面温度が約10回も上昇した極めて不利なコンディションのなか、パロウは1回目を11位(231.155mph)で終え、辛うじて上位12台による「TOP 12」ラウンドへの進出を決めるにとどまっていた。しかし、そこからの巻き返しが見事だった。日中の最高気温が80度台半ば(約29℃以上)まで達する猛暑のなか、チップ・ガナッシ・レーシングのクルーはマシンのセットアップを完全にアジャスト。パロウは「TOP 12」を2位で通過すると、最終決戦の「ファスト6」でライバルを圧倒した。

パロウは「言葉が出ないよ。本当に信じられない気分だ。今朝起きたときは、これほどのスピードが出せるとは予想していなかった。素晴らしいチームの実行力のおかげだ」と喜びを語った。

今回のパロウのポール獲得は、ディフェンディングチャンピオンがポールポジションから連覇に挑むというエリオ・カストロネベス以来16年ぶりの歴史的快挙であると同時に、チップ・ガナッシ・レーシングの「猛暑における対応力の高さ」を証明する結果となった。出走順の不利をデータと経験で覆したチームの総合力こそが、この勝利の本質といえる。

■ フロントローの顔ぶれと、ローゼンクヴィストの無念

パロウの隣、フロントロー(1列目)の2番手には、2016年の覇者アレクサンダー・ロッシ(エド・カーペンター・レーシング)が231.990mphで食い込んだ。これはロッシにとってインディ500での過去11回の参戦のなかでキャリア最上位の予選結果となる。さらに3番手には、名門チームへの移籍後初レースとなるデイビッド・マルーカス(チーム・ペンスキー)が231.877mphを記録し、自身初のフロントローに滑り込んだ。

一方で、明暗が分かれたのが4位に終わったフェリックス・ローゼンクヴィスト(メイヤー・シャンク・レーシング)だ。ローゼンクヴィストは予選1回目をトップ(232.599mph)、続く「TOP 12」もトップ(232.065mph)で通過し、ポールの最有力候補と目されていた。しかし、最終決戦の「ファスト6」では231.375mphと失速。ローゼンクヴィストは「最後のラウンドで決めきれず、まるで呪いのようだ。これが3回目だよ。本当に悔しいが、気持ちを切り替えて決勝に集中する」と落胆を隠せなかった。

上位2列(6位まで)のなかに6つの異なるチーム(チップ・ガナッシ、エド・カーペンター、チーム・ペンスキー、メイヤー・シャンク、A.J.フォイト、アロウ・マクラーレン)がひしめき合う結果となった。これは現在のインディカー・シリーズ全体の勢力図が極めて拮抗していることを示しており、特定のメガチームによる独占が崩れ、決勝レースが予測不能な大混戦になることを予感させる。

■ 予選後に技術違反発覚、2台のタイム剥奪で最後尾へ

劇的な予選の興奮が冷めやらぬなか、夕方に行われた予選後の技術検査において、2台のマシンに対し予選タイムの剥奪と最後尾へのグリッド降格処分が下される大きな波乱があった。

処分の対象となったのは、カイオ・コレット(A.J.フォイト・エンタープライゼス)と、ジャック・ハーベイ(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)だ。

インディカーの競技オフィシャルによると、車検において両チームがダラーラから供給されている「エネルギー管理システム(EMS)」のカバーおよびAアーム(サスペンション構造)への取り付けポイントに対し、承認されていない独自のハードウェア(部品)を用いて改造を施していたことが判明した。インディカーの公式規則集では、EMSカバーは供給された状態のまま使用しなければならないと定められており、両チームは以下の規則に違反した。

この違反により、予選結果がすべて無効(失格)となり、チームポイントの順に決勝グリッドの最後尾へ降格となる。さらに、ピット選択の優先権も剥奪され、他の全チームがピットボックスを選択し終えた後に残った場所を選ぶペナルティが科されることとなった。

■ ディクソンが10位へ繰り上がり、佐藤琢磨は対象外

この失格処分に伴い、予選ポイントの分配にも変更が生じた。カイオ・コレットに与えられていた3点分の予選ポイントが剥奪されたため、6回のシリーズチャンピオンを誇るスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が予選10位、リナス・ヴィーケイ(フンコス・ホーリンガー・レーシング)が予選11位にそれぞれ繰り上がり、該当する予選ポイントが授与されることとなった。なお、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、TOP 12予選に参加していなかったため、今回のポイント繰り上げの対象外となっている。

■ 予選上位6名の結果

1.アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)– 232.248 mph
2.アレクサンダー・ロッシ(エド・カーペンター・レーシング)– 231.990 mph
3.デイビッド・マルーカス(チーム・ペンスキー)– 231.877 mph
4.フェリックス・ローゼンクヴィスト(メイヤー・シャンク・レーシング)– 231.375 mph
5.サンティノ・フェルッチ(A.J.フォイト・エンタープライゼス)– 230.846 mph
6.パト・オワード(アロウ・マクラーレン)– 230.442 mph